セッティングについて 6

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今回はステアリングのアッカーマンメカニズムについてのお話しです。
(但し、正確なアッカーマンジャント理論では無く、あくまでRCカー向けという事で…)

RCカーがコーナーリング中に描く左右フロントタイヤの軌跡は一体どのようになっているのでしょうか。

ここでステアリングを右に目一杯切ったとします。
もし左右フロントタイヤの切れ角が同じだったらどうなるでしょう?(因みにこの状態を「パラレルステアリング」と言います)
説明するまでもなく、左右のタイヤは同じ半径の円を描くことになります。しかしこの場合、アウト側のタイヤとイン側のタイヤでは
およそ車幅分だけ円の中心点に差があります。
この状態で旋回すると、ある時点でアウト側のタイヤが描く軌跡とイン側のタイヤが描く軌跡は交差し、アウト側のタイヤの軌跡がイン側のタイヤの軌跡
より内側を回るようになってしまいます。

しかし実際はそのようなことになりません。
車がスムースに旋回するには、アウト側のタイヤが描く軌跡とイン側のタイヤが描く軌跡が同心円とならなければなりません。
このことから、ステアリングを切った時にイン側のタイヤの切れ角がアウト側のタイヤの切れ角より大きくなる事が必要です。
このようにイン側のタイヤの切れ角がアウト側より大きくなるステアリング機構を「アッカーマン式」と呼んでいます。
そして、このアウト側のタイヤの切れ角とイン側のタイヤの切れ角の差(アッカーマン比)を変化させることで
よりスムースなコーナーリングを可能にすることが出来ます。

少々前置きが長くなりましたが、どこでアッカーマン比を変えることが出来るのかを紹介します。

      

およそのメーカーのシャシーなら上記写真の赤丸で囲まれた部分と同じようなポイントがあると思います。
左と真ん中の写真で示されたポイントは、ステアリングタイロッドの付け根、右の写真はフロントナックルのタイロッド取り付け部です。
これらの場所のピロボールの取り付け位置を変えることで、アッカーマン比を変化させることが出来ます。

ここで、ヨコモのBD(CGMステアリングクランク使用時)を例にとって具体的な調整について解説します。




BDのベルクランクプレートにはピロボール取り付け穴が5ヵ所開いています。
これによりピロボールの取り付け位置を前後させることで、アッカーマン比を変化させることが出来ます。











現在メーカーより公表されている谷田部アリーナでのセッティング(2007/8/2現在)では、
前から4番目の穴位置が推奨されています。
写真でも判るとおり、左タイヤ(アウト側)の方が右タイヤ(イン側)の切れ角より小さいのがわかります。











ここで穴位置を一番前に変更してみます。
すると左タイヤの切れ角が増加して、左右の切れ角の差は少なくなっています。
つまり、「パラレルステアリング」に近づいたということになります。
通常は一気に穴位置を大きく変えず、ハンドリングの様子を見ながら少しづつ変更していきます。
因みに穴位置を後方に変えていくと、切れ角の差は大きくなっていきます。




ではどのようなハンドリングの変化が現れるのでしょうか?
切れ角の差を大きくすると全体的にマイルドなハンドリングになり、逆に切れ角の差を小さくすると少ない舵角でも曲がるハンドリングになっていきます。
上記のことを念頭に置くと、メーカー推奨セットを基準に大きなRのコーナー主体の高速レイアウトでは切れ角の差を多く
小さなRのコーナー主体の低速レイアウトでは切れ角の差を小さくしていくと、好結果に繋がることが多いようです。

これは、コーナーリング序盤から中盤にかけて最も荷重が掛るフロントアウト側のタイヤの切れ角を変えているのが要因です。

いづれにしても、他のセッティングポイントと同様に一気に大きく変化させるのではなく、少しづつ様子を見ながら変更していってください。


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